「孤狼の血」 暴力! 養豚場! 他

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2018年において役所広司が暴力している映画があると聞いて、
公開終了間際に急いで見てきたのが先週末。
こういった映画にまた役所が出てくるようになったのは、
「渇き。」が転換点だなと認識している……。
10年代邦画ベストを選ぶとしたら入れるだろうな。

さて、広島の架空都市「呉原」を舞台としたヤクザ映画の本作。
「呉原」というが、呉だと思ってよい。
呉と言えば、やはり「仁義なき戦い」。最近は「この世界の片隅に」とかあったけど…。
仁義なき戦い」へのリスペクトなのだろうな。

話としては役所広司が扮するマル暴刑事が、
捜査のために裏社会に出入りして賄賂や暴力を駆使するというよくあるフォーマットと、
そんな役所と新人警官(松坂桃李)がコンビを組むことになるというこれまたよくあるフォーマットの掛け合わせといった感じ。

作中の暴力描写はすさまじく、
これまでノワールムービーを撮ってきた白石監督作品の中でも群を抜いて過激なんだそうだ。
(私は「日本で一番悪い奴ら」しか見てないが、それよりも遥かに暴力!)
おすすめの暴力シーンはやはり冒頭。
東映の古いロゴがフェードアウトしながら聞こえる豚の鳴き声、
アップになる豚の脱糞、
そして───。
主演の役所を以てしても「吹き出しました」という出来栄えで、
これを見届けるだけでも価値があったなと思う。
ちなみにこの養豚場でのシーンも例の真珠を取り出すシーンも原作にはないらしく、
映画化での暴力描写のマシマシ具合には、感動しかありません。
間違いなく現在の邦画シーンを代表する監督なんだよな、白石監督。

もうやってるところほとんどないと思うけど、おすすめです。

ところで、「この世界の片隅に」の続編で広島抗争篇とかやらねえかな(謎)
BLACK LAGOON」やってた片淵監督ならできないこともないんじゃないの?


4,5月は京王線で異常にCMが流れており、
そこでの作画が良くて気になってはいたのだが、
先日ようやく見ることができた。

実在の競走馬を擬人化した作品で、彼女たちがレースを行うという基本的にはスポ根な感じだ。
モデルとなった競走馬をキャラ設定として取り込んでいるようで、
ストーリーには、実際のレースを下敷きした展開が組み込まれたりもする。
このような史実との関連は、競馬ファンならばもっと楽しめただろうなと思うと悔しくもあった。
後述するが、サイレンススズカなんかは、この点がよく絡んできており、正直傑作だと思います。

以下、何点か感想。



1. 第2R
スパートをかけるスペシャルウィークのシーンがよかった。
加速により四隅がぼやけたり、部分的に糸を引くような表現は、
やはりかっこよかった。
京王線車両ではこのシーンが流れていて、本作に誘われたのである…。
私はdアニメストアで見たので、知らなかったんだが、
TV放送だと初回は1話2話一挙放送だったんだな…この掴みはばっちりすぎる!
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2. 第7R
「98年の天皇賞で圧倒的スピードで先頭を走っていたサイレンススズカが突如故障し、レース後に死去してしまう」
という史実を知らなかったせいもあるが、スズカの故障シーンは衝撃であった……。
木の陰になり一旦画面から消えたスズカが、再度画面に現れると故障しているという、
急転換は衝撃的だったなあ…。
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3. 第11R
第7Rで故障したスズカが復活する回。
レース前のトレーナーとスズカの会話もよかったが、
やはりレースシーンだろうなあ…。
もう何も言うことはない……。この回は泣く回なので、みなさんトレーナーと一緒に泣きましょう。
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4. 内古閑智之さん演出業も始めてたらしい
ここ1, 2年アニメを見ていなかったら、
タイトルロゴの仕事が印象的な内古閑智之氏が、ED演出にも進出していた!
このキャプチャは、版権絵でよくある構図だが、画面の色調・透明感は長井龍雪的な印象もあるなあ。
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あと、個人的に及川啓監督のファンだったので、
本作が大きく流行って嬉しかった。
近年の監督作品の「この美術部には問題がある!」「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」「アウトブレイク・カンパニー」は全部楽しく見ていたなあ。
漫画・ラノベ原作ものを圧縮してアニメとして提示する手腕が半端ないって思ってたけど、
ウマ娘のような実質的なオリジナルアニメもこんなに面白く仕上げるなんて、まったく予想してなかったな~!